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研究内容

​分子生物学教室で行われている研究をご紹介します

​研究プロジェクト 1

1. マルチオミクス解析による生命現象の可視化と運命制御機構の理解

トランスクリプトーム、エピゲノム、プロテオーム解析を統合したマルチオミクス解析を用い、細胞内での物質輸送や核内ゲノム構造の変化を解明します。

  • 細胞運命の決定:特定の因子(Katano, Development 2023; Morita, JMCC 2016; Takeuchi, Nature 2009a)とゲノム領域の相互作用が、未分化細胞から心筋や血管内皮細胞などへ分化する仕組みを明らかにします 。

  • 独自技術の活用:簡易プログラミングとスパコンを利用して高度な解析を可能にする独自のオミクス解析系(RIAS)を構築し、迅速な研究推進を実現しています 。

2. ヒト疾患(循環器・リンパ系疾患)の発症メカニズムの理解と治療標的の探索

クロマチン制御因子群3種類(Asanuma, revised 2026; Takeuchi, Nat. Commun. 2011)、ヒト先天性心疾患責任遺伝子群のプロモーター領域から転写される新規非コードRNA群6種類を単離済み(浅沼, 細胞2025; Hori, BMC genomics 2018; Koshiba-Takeuchi, Nature 2009b)が疾患発症を抑制するメカニズムを研究し、新たな治療法の開発を目指します。

  • 不整脈の抑制:新規の非コードRNAであるGm5563が心筋タンパク質の機能を維持し、不整脈や心筋分化異常を防ぐ役割を同定しています。

  • 中胚葉由来細胞の異常(リンパ管奇形・肉腫の制御):ヒストン修飾タンパク質によるリンパ管の過形成抑制メカニズムを解明し、ヒトリンパ管腫の治療標的探索を進めています(Takeuchi, PLOS ONE 2021; 2015)。

3. 環境因子が惹起する先天異常のエピゲノム基盤の解明

母体環境の変化が胎児に与える影響を、遺伝子配列の変化を伴わない「エピゲノム」の観点から解析しています。

  • 催奇性因子の特定: 妊娠初期のストレス反応性エピゲノム因子群が、胎児の特定の脆弱なゲノム領域に影響を与え、心奇形などの先天異常を引き起こすプロセスを研究しています。

  • 非胎盤依存型培養系の開発: 迅速かつ安価に母体環境を模倣し可視化できる独自の培養系を用い、環境因子による生理的変化を効率的に解明しています。

​研究プロジェクト 2

細胞の分化形質維持と変遷のメカニズム

ゲノムDNA、ヒストン、その他の制御分子からなるクロマチンは、遺伝子発現制御の基本単位です。メチル化やアセチル化等のヒストン化学修飾は、クロマチンと制御分子の結合性等に影響を与え、遺伝子発現に深く関与します。ヒストン化学修飾が細胞の分化状態の遷移や維持に重要であることが示唆されていますが、細胞の分化状態に応じて特定の化学修飾を実現させ、維持する実態とそのメカニズム、すなわちヒストン化学修飾の「根本原理」は依然として不明です。本プロジェクトではこの原理の解明を目指します。

  • 外的要因による分化形質転換:PDMSポリマーを用いて微小パターンや狭路を作成し、細胞が置かれた外部環境を制御します。また、神戸大学・伊藤俊樹教授との共同研究により、細胞膜張力の測定と制御を行います。この時、主にヒストン修飾分子の核移行動態の観点から、ヒストン修飾変化との因果関係の検証を行います 。

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​研究プロジェクト 3

腫瘍の可塑性を制御する分子機構の解明と新規治療戦略の創出

がんは周囲の微小環境の変化に応答して、その性質を動的に変容させる「可塑性(Plasticity)」を有しています 。この可塑性を駆動する分子基盤の解明を研究の中核に据え、がん悪性化の進展を抑制するための新たな戦略の構築を目指しています 。

特に、低分子量Gタンパク質ARF6とそのエフェクター分子AMAP1からなる「ARF6–AMAP1経路」に着目し、本経路による細胞内動態制御と連関した、がん悪性化プロセスを統合的に理解することを目指した研究を展開しています 。

  • 免疫抑制的腫瘍微小環境の制御機構:ARF6–AMAP1経路を介したPD-L1の細胞内動態、ならびに線維化との関連にも着目し、免疫抑制的微小環境がいかにして構築されるのか、その分子機構の実態解明を進めています。

ホームページ図案  橋本あり 2jkt20260401-2.jpg

©2022 by 北海道大学大学院医学研究院 分子生物学教室。Wix.com で作成されました。

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